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高齢者とペット

 一般社団法人ペットフード協会の調べによりますと、ペットとして飼育されている犬・猫の頭数は併せて約1855万頭にも及ぶそうです。私の実家でも両親が柴犬を飼っていますが子どもが独立してから飼い始めたためなのか、以前に飼っていた犬よりも可愛がり方のレベルが数段階違うように思います。

 高齢者の方が犬や猫などのペットを飼うことのメリットとして、精神的にリラックスし、病気の回復力や適応力に効果があるといわれています。また犬の場合は散歩をすることにより体力を維持することができますし、さらにペットを介して近隣の方とのコミュニケーションを図ることができ、孤独感を軽減できるといわれています。ペットはもはや家族同様の存在といえるかもしれません。

 しかし現在、高齢者の方がペットを飼うことに伴う問題点も現れています。例えば独居の高齢者が病気などによる長期入院や認知症、あるいは飼い主が亡くなったことによりペットのお世話ができなくなるというケースです。ご家族や知人が残されたペットを引き取るなどして引き続きお世話ができればいいのですが、様々な事業により引き取りが難しい場合、やむを得ず殺処分をせざるを得ないという悲しい事態もありえます。

 こうしたことを防ぐために、「民事信託契約」を利用して飼い主がいなくなった後のペットの保護を図る手段があります。「民事信託契約」とは、自分の信頼できる人などにあらかじめ一定の財産を託し、ある特定の目的(今回のケースでは飼い主なきあとのペットの飼育)のみにその財産を管理・利用できるというものです。

 先ほど述べましたように突然の長期入院や死亡、また認知症になってしまった場合は対処が難しいですが、あらかじめ信頼できる人と契約を結んでおくことで万が一のアクシデントにも対応できます。

 例を挙げますと、犬を飼っている独居の高齢者のAさんは万が一自分が亡くなった後にのこされてしまう犬の事を心配していました。子どもは遠方に住んでおり犬を飼える状況にないので世話を頼めず、知人にお願いしても本当に面倒をみてくれるのか不安です。そこでAさんは信頼できるBさんに犬の飼育費用として一定の財産を託し、Aさんの死亡などにより犬の飼育ができなくなった場合にBさんが託された財産を利用し犬の世話をするという「民事信託契約」を結びました。Bさんは契約により、託された財産を犬の世話以外に利用できませんし、またBさんがその後犬を飼えなくなったとしても信託された財産を利用して動物愛護施設等に預けることもできます(わかりやすくするために民事信託契約の説明をかなり簡略化して記載しています。詳細につきましてはお気軽にお尋ねください)。

 このような契約を結ぶことにより、Aさんはそのまま犬を飼い続けAさんに万が一があった場合も、Bさんが契約内容に従い責任をもって犬の世話をするというAさんが安心できる体制を構築することができます。

 ご自身に万が一があった場合の対策として所有財産に関する遺言や生前贈与などの対策をとることはよくありますが、ペットに関しては意外と失念してしまいがちです。家族にも等しい大切なペットのためにも対策を考えてみるのもいいかもしれません。

 

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