自筆証書遺言は遺言者本人が保管する必要があるため、紛失や改ざんされるリスクがありました。そこで、令和2年より法務局による自筆証書遺言の保管制度がはじまりました。
遺言者は法務局に対して、自身の自筆証書遺言に係る遺言書の保管の申請を行い、遺言書を預けることができます。遺言書を保管できる法務局は、遺言者の住所もしくは本籍地、または遺言書に記載のある不動産を管轄する法務局に限られます。
自筆証書遺言の場合は、遺言者の死亡後、その遺言書について家庭裁判所による検認手続きを受ける必要があります。しかし自筆証書遺言保管制度を利用した場合は、この検認手続きが不要となります。
法務局では法令が定める自筆証書遺言の形式に適合するかについての外形的なチェックを受けられますが、内容についてはチェックをしませんので注意が必要です。そのため遺言書の内容について必要な事項が足りずに、実際の相続手続きで作成した遺言書が利用できないというリスクもありますので、遺言書の作成の際には事前に専門家にご相談をされることをお勧めいたします。